無題

最近、醜悪なものをよく目にする。 最近とある建物の立替が設計事務所数社でのコンペになった。もともととある事務所が匿名で仕事を 受けていた会社だったのだが、私が小さな仕事を突破口に2年近く営業し、コンペの参加者に入れて もらえた仕事だった。当然…

中東の砂漠/

2007年の12月の中旬、中東のドバイの砂漠に立っていた。人生で初の砂漠体験である。中東の砂漠の砂は、よく写真で見るようなサハラの砂漠の砂とは違っていて、少し赤茶色をしていた。それは海岸の砂よりも随分と細かく、風が吹く度に眼前で音もなく崩れ落ち…

現代の祭

東京にはその地域の人しか知らないような小さな祭りがたくさん存在している。 圧倒的に都市化され、地方からの流入者(私もその一人)が増大したこの街では、もはや土地に根ざしたコミュニティなどどこにも存在しないように見える。にもかかわらず、この街に…

コンスタンティン・ブランクーシ 無機物と生命との出会い

パリのポンピドゥ・センターの分館であるアトリエ・ブランクーシを訪れたことがある。建築家レンゾ・ピアノ設計の抽象的な空間の中に、20世紀の彫刻家ブランクーシの抽象的な形態の彫刻と、彼の再現されたアトリエが展示されている。ブランクーシはシンプルで抽…

オープニングセレモニー

今日は内装を手がけた銀行のオープンの日。不動産会社のオフィスビルを設計したところ、入居する銀行から内装の依頼を請け、設計の機会に恵まれた。 仕事の営業、受注から、設計、プレゼンテーション、コスト調整、現場監理までを自分で担当した仕事である。…

アルベルト・ジャコメッティ 「ある」ことを捉えること

アルベルト・ジャコメッティ(1901-1966)の回顧展を兵庫県立美術館で見る機会があった。 ジャコメッティは細長い人体のブロンズ像で有名な彫刻家・画家である。シュールレアリズムから出発したジャコメッティは、具象的な人体像へと転向して以降、ただひたす…

中島哲也 『嫌われ松子の一生』  現代におけるリアルさとは

少し前に中島哲也監督の『嫌われ松子の一生』を見た。 映像、編集に全く隙のない、そして映画という形式を限界まで使い切った渾身の力作である。この映画はラース・フォン・トリアーの『ダンサー・イン・ザ・ダーク』同様、多くのミュージカルシーンが挿入さ…

マーク・ロスコ/世界の向こう側を見た画家

千葉、佐倉の川村記念美術館には、ロスコ・ルームと呼ばれる部屋がある。 ロスコとは、キャンバスを矩形に塗り分けた抽象画で有名な現代抽象画家マーク・ロスコ(1903-70)のこと。 ロスコ・ルームには、ロスコの巨大な暗い画面の絵画が何点も掛けられており、…

フィリッポ・ブルネレスキ フィレンツェの大聖堂 技術が時代を超えた建物

万能の人 ブルネレスキ 先日放映されたTBSの「世界遺産」はフィレンツェの歴史地区の特集だったのだが、本来歴史遺産か大自然の特集であるこの番組が、今回に限ってはルネサンスの建築家であるブルネレスキの特集であった。トスカーナの大地全てに影を落とす…